法然上人のお言葉に
「貪(トン)というについて 喜足小欲(キソクショウヨク)の貪(トン)あり、
不喜足大欲(フキソクダイヨク)の貪(トン)あり。いま浄土宗に制(セイ)するところは、不喜足大欲の貪煩悩(トンボンノウ)なり。」
現代語訳―貪りということについては、つつましい貪りもあり、強欲な貪りもあり。いまこの浄土宗で禁じるのは、強欲な貪りの煩悩です。
人間は欲があるから生きていけます。意欲があるからこそ、それに向かって頑張っていけるのではないでしょうか。
すべては欲からはじまるといっても過言ではない。だから、欲はなくならないのであります。
運転をするとき、皆さんはまず、アクセルを踏むでしょう。人間も欲望を叶えるためにアクセルを持っています。目的地に向かって進めと頭で考えてアクセルを踏みます。つぎに、ハンドルさばきも必要になってきます。このハンドルも頭で考えて操作します。スピードが出すぎたり、赤信号になると減速して、ブレーキを踏みます。人間の欲望というエンジンにブレーキをかける、このブレーキが「心」であります。心がしっかりと整備されていなければ、ブレーキがかかりません。コントロールして、不喜足大欲の暴走をやめ、安全運転を心がけましょう。
法然上人は、喜足小欲の心で、お念仏を称えて生きていくことが大切であるとおっしゃっておられます。合掌