お釈迦様は生まれてすぐ7歩あるいて、「天上天下唯我独尊」と言われました。
天の上にも天の下にも、この広い地球上でただ私一人が尊しという意味ではなく、自分という存在は、誰にも変わることができない人間として生まれており、この命のまま尊い。他人と比較して傷つくこともなく、他人より優れているところがあっても、おごり高ぶらないという言葉でございます。
槇原敬之さんが作詞作曲をした「世界に一つだけの花」という歌があり、解散されたスマップも歌っていました。
槇原さんは1999年覚醒剤事件の有罪判決があり、世間を騒がせ、全国ツアーコンサートやCDやその他のものがすべて回収になり、損害は膨大な金額になったそうです。
何億もの負債を背負い、苦しまれたそうです。その苦しみの中で、山梨県は身延山、日蓮宗の総本山久遠寺に着きました。石段で一息しているときに。若いお坊さんが傍に寄ってきて、声をかけてきました。槇原さんですね?
お寺の書院に案内され、いろいろな話をされました。
その折に「天上天下唯我独尊」の話をうけました。人生の絶望を感じてお寺に来たけれども、このお言葉を頂いて、生きる勇気を得て、前向きにもう一度頑張っていこうと決心されたのです。世の中の役に立ちたい、自分にできる事は、歌を歌い、作詞、作曲をすることである。この道で多くの人を幸せにしていきたいと。こう考えて「世界に一つだけの花」という国民的歌が誕生しました。
「ひとそれぞれ好みはあるけど どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて 争う事もしないで バケツの中誇らしげに
しゃんと胸を張っている それなのに僕ら人間は どうしてこうも比べたがる
一人一人違うのにその中で 一番になりたがる
そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かさせることだけに 一生懸命になればいい
小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから
ナバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン」
比べる事もなく、争う必要もない、人はそれぞれに尊い存在である。
「みんなちがって みんないい」(金子みすゞ)
今世間は「寛容さ」という言葉を忘れているのではないでしょうか。