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住職法話11月「親の愛」

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2021年日本の高齢化人口(65歳以上)が世界1位の29.1%であり、平均寿命、

女性は世界1位の87.74歳、男性は世界2位の81.64歳であります。

「変わりたくても 変われない 変わりたくなくても 変わっていく」

人はそう簡単に心を入れ替えて変わることはできませんが、老いは確実に来ます。

老いたくなくても老いてしまうのです。 一人暮らしから、同居に踏み切る家庭は少なくありません。一見すると幸せなことでしょうが、息子は会社に、嫁もパートに、孫は学校や習い事に忙しく日中は高齢者が独りで家にいるケースが多くあります。同居してるから安心ではなく、高齢者の気持ちに寄り添う事が大切であります。

昔、ある村では60歳になれば山に捨てるという掟がありました。その山の名前は姨捨山(おばすてやま)と呼ばれていました。

ある日のこと、その村の一人の男が、齢老いた母を背負って山へ捨てにゆく途中のこと、背中で時々枝を折る音がするではありませんか。「さては母が、捨てられたあと一人で山を降りるための目印を作っているな」男はそう思いましたが、知らん顔でようやく山奥にたどりつき、お母さんにさよならを告げました。その時お母さんはこう言ったのです。

「いま、山を登ってくる時、お前が帰り道を間違えないよう枝を折って目印をつけておいたよ。それを頼りに気をつけて里へ帰りなさい」
自分が捨てられようとしながら、なお我が子のために道しるべを残してやろうとする親心に男はいたく感動し、親不幸を詫びるとともに再び老婆を背負って山を降りるのでありました。その後男が孝行したことはいうまでもありません。
自分のことは一切考えに入れずにただ相手を思いやる、これを老婆心(ろうばしん)といいます。 自分を目いっぱいに考えに入れ、自分の面子と損得で子を育てている親がいるのは悲しい事です。
私たちは老人を山に捨てるようなことはしませんが、精神的に老人を捨ててはいないでしょうか?

親は口うるさく、いつまでも心配だから、世話を焼いてしまうのです。それを素直に「はい」と受入れ、逆に「ありがとう」と言える子どもになっていきましょう。

阿弥陀様は何も言わないが、ただ案じて下さっています。その御心に応えて、「南無阿弥陀仏」とお称えしてください。    合掌